JSEM 電子音楽カレンダー/2016 年 7 月のピックアップ

 

 

JSEM 電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として 2014 年 8 月より月イチでご紹介して参りましたが、2周年を迎える今回にて最終回となります。ただ、2016 年 6 月のイベント紹介と、7 月の新譜ディスク紹介がまだ残っておりますので、実際の最終回はしばらく後になります。

2016 年 7 月に開催されるイベントから、7 月 14 日に北とぴあ つつじホールにて開催される「東京現音計画 #07 クリティックズセレクション1:沼野雄司」をピックアップいたします。こちらのコンサートのプログラム監修を担当された沼野雄司さんに電子メールでお話しをお伺いしました。

 

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東京現音計画 #07 クリティックズセレクション1:沼野雄司
日 時:2016 年 7 月 14 日(木)19:00 開演(18:30 開場)
会 場:北とぴあ つつじホール(東京都北区王子 1-11-1)
入場料:前売 3,000 円、大学生・専門学校生 1,000 円、当日 各種一律 3,500 円、高校生以下無料
http://tokyogenonproject.net/?p=381

スティーヴ・ライヒ / 振り子の音楽(1968)
パオロ・カスタルディ / エリーザ(1964/67)
ハヤ・チェルノヴィン / 十字路(1995)
クリスチャン・ウォルフ / エクササイズ5(1973-74)
ホラチウ・ラドゥレスク / オリジン(1997)
ヨアキム・サンドグレン / 押収品(2011-12)
スヴェトラーナ・ラヴロヴァ / 重力(2013)
ルイ・アンドリーセン / ワーカーズ・ユニオン(1975)
演 奏:東京現音計画
客 演:宮村和宏、大田智美

 

新たな抵抗に向けて 東京現音計画 #07 関連トーク
出 演:沼野雄司(音楽学、桐朋学園大学教授)、東京現音計画メンバー
ゲスト:毛利嘉孝(社会学・文化研究、東京藝術大学教授)
日 時:2016 年 7 月 9 日(土)14:00 開演(13:30 開場)
会 場:Tokyo Concerts Lab.(東京都新宿区西早稲田 2-3-18)
入場料:1,000 円
https://www.facebook.com/events/542210725969209/

 

 

■沼野さんはこれまでにどのようなコンサートのプログラムを手がけてこられましたでしょうか。また、今回、沼野さんが東京現音計画のコンサートのプログラム監修をご担当されるようになった経緯についてお話しいただけますか。

学生時代に仲間とやっていたサークル活動みたいなものを除けば、プログラムを一人で組んだのは、今年の2月にニューヨークで行われた「ミュージック・フロム・ジャパン」の演奏会(日本人作曲家特集)のみだと思います。ただ、それ以前にオペラシティ「コンポージアム」やサントリーホールの「サマー・フェスティバル」の企画にはずいぶんと長く関わっていたので、共同でということであればだいぶ経験はあります。で、今回の経緯といっても、単に有馬さんから電話が来たということです(笑)。かなり責任が生じるので躊躇もありましたが、自分にとってもよい機会だと思ってお引き受けしました。

 

■今回のコンサートのチラシにおいて、沼野さんは「現代音楽とは、何らかの抵抗の謂いである。/このテーゼが間違っていないならば、それはすなわち最広義においての政治運動に他ならない。かつて『政治と音楽』は大きな主題として我々の前に横たわっていた。政治的なテーマによる作品が多く書かれたというだけではない。重要なのは、社会との関係を検討する中で、あるいは社会とのさまざまな摩擦を経験する中で、音楽という行為の根源を問うような作品が次々に産みだされた点にある」と述べられています。1965 年生まれの沼野さんが、今回のプログラムで「政治と音楽」をテーマに選ばれた理由や、その背景などについてお話しいただけますか。

チラシの文章でも触れていることですが、「政治」というのは狭義のそれ──例えば自民党か共産党か、みたいな──だけではなく、まさに最広義での「政治」という意味です。つまり自分と他者が社会の中でどう関わるのか、という問題。いわゆる「現代音楽」は現在も盛んに書かれているし、その技術はずいぶんと洗練されてきていると思うのですが、僕らの人生を変えるような一撃というのにはなかなか出会えない。もちろん、これは単に自分が歳をとったせいでもあるだろうし、ごく単純に聴いている絶対量が少ないせいでもあるでしょう。

ただ、こう言ってしまうとバカみたいな表現なのですが、僕としてはなんでもいいから、なにがしかの知的な刺激がほしいのです。たとえそれがネガティブなものであってもいい。音楽としてはくだらなくても一向にかまわないので、ともかくそれを媒介にして、自分の組成みたいなものが変わるという体験がしたい。音楽による試みが、自身と世界の関係を更新するようなあり方を求めているということです。これは端的にいって「政治」の問題ではないかと考え、キーワードに据えました。

 

■上記した引用文の中にある「音楽という行為の根源を問うような作品」として、スティーヴ・ライヒ「振り子の音楽」(1968)、パオロ・カスタルディ「エリーザ」(1964/67)、クリスチャン・ウォルフ「エクササイズ5」(1973-4)、ルイ・アンドリーセン「ワーカーズ・ユニオン」(1975)が「かつての『政治の時代』を象徴する 1968 年前後に書かれた問題作」としてセレクトされています。これらの作品において、どのようなかたちで「音楽という行為の根源」が問われているのか、沼野さんのご見解をお聞かせいただけますか。

これらの作品の共通点は、とにかくシンプルかつ単純であることです。誰でも聴けば分かるように、狙いがはっきりしている。作品としての「完成度」とか「エクリチュール」みたいなものは、僕にとっては二の次です。もちろんそれらを無視することはできませんが、選ばれた書法が「ごく単純な狙い」に徹底的に、しもべのように奉仕するというのが好ましいあり方です。これらの作品はそれを達成しているのではないかと考えました。音楽という行為の根源、という表現を別の言い方にすると「ある意味では、あまりに単純な仕掛けの作品」ということにもなります。単純な仕掛けだから、仕掛け自体がよくなければ終わりだし、どうしたって仕掛けの限界も見えてくることでしょう。でも、それが選曲の狙いなんです。

 

■さらに、沼野さんは「その後の創作界の『沈滞』の一因は、音楽が政治性を喪失した点にも求められるのではなかろうか。あれから世界の見取り図は大きく変化したけれども、ようやく新しい政治の時代が到来している感触がある。それは単なる右・左といった枠組みを越えた、重層的な抵抗運動を形成するだろう」と述べておられます。言語化するのは難しいかもしれませんが、現在、沼野さんはどのような「新しい政治の時代が到来している『感触』」をお持ちなのか、お話しいただけませんでしょうか。

ここら辺のくだりはちょっとばかり、単なる「文章芸」みたいなところがありますね。こういうところをきちんと突いてくるあたりが川崎さんだ……(笑)。ただ、抽象的で漠然とした感触に過ぎないとはいえ、こういうことを感じているのは本当です。ドイツやフランス風ではなく、しかしドメスティックともいえない作品がどんどん増えている。東京でしかやっていなくても「ドメスティックではない」という印象が大事だと思います。

 

■ 90 年代以降に作曲された作品として、ハヤ・チェルノヴィン「十字路」(1995)、ホラチウ・ラドゥレスク「オリジン」(1997)、ヨアキム・サンドグレン「押収品」(2011-2012)、スヴェトラーナ・ラヴロヴァ「重力」(2013)がプログラムされており、サンドグレンとラヴロヴァの作品にはエレクトロニクスが含まれています。これは東京現音計画の編成といった要因もあるものと思われますが、「きわめてラディカル=根源的な響きの作品」をピックアップするにあたり、エレクトロニクスの要素は意識されましたでしょうか。また、これらの3つの作品を選ばれた根拠や基準など、プログラミングにおいてはご苦労されたものと思われますが、その経緯についてお話しいただけますか。

特にエレクトロニクスの要素を意識したということはなく、また実際、これらの作品におけるエレクトロニクスの用法は特に新しい類のものではないと思います。また、ラドゥレスクはともかく、まだあまり日本では紹介されていない作曲家を選ぶにあたっては、海外に住んでいる友人・知人にも情報をもらいながら(また、作曲家の連絡先などに関しても、いろいろな人にお世話になりました)、少しずつ先のようなタイプの、すなわちシンプルな音楽を書く作曲家を探していきました。さらに、ある程度は意識的に、地域的に「周縁」の作曲家を選びました。

また、当然ながら大前提としては、「東京現音計画」の異様な楽器編成と合致しなければいけない。これは本当に大変で、途中で絶望的な気分になりました。実はチェルノヴィン作品は、もとはコントラバスが入っている編成です。どうしてもやりたいので、コントラバスのパートをチューバで演奏することはできないかと作曲者にコンタクトしたら、「クレージーなアイディアだが、チューバ奏者が優秀ならば試してみてもいい」と答えが返ってきた。そこで、これ幸いと橋本さんのサンプル音源を送ったら「素晴らしい奏者!ぜひこれで行きましょう」と OK が出たのです。ごく小さいことですが、こうした交渉のあれこれも、今回の「政治」の試みの範疇だと考えています。

 

■沼野さんは日本電子音楽協会の特別会員というお立場ですが、今後の日本電子音楽協会について、そして、広い意味での電子音楽の未来について、どのような展望をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

あまりに難しい問いで……ともかく「電子音楽」という括りはどんどん無効化してゆくと思っています。そもそも、いわゆる伝統的なクラシック音楽に関しても PA を入れてしまえばよいと僕は考えているので、その意味ではエレクトロニクスの重要性が減じることはないでしょう。大丈夫です。安泰です。

 

■コンサートのご成功をお祈りしております。この度はどうもありがとうございました!

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JSEM 電子音楽カレンダー/2016 年 4 月のピックアップ

 

 

JSEM 電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

担当の川崎の怠慢で掲載が遅くなってしまいましたが、2016 年 4 月 1 日に配信を開始した、国立音楽大学コンピュータ音楽研究室で制作された電子音響音楽を収録したコンピレーション・アルバム「 audiblescape 」をピックアップいたします。このアルバムの編纂・マスタリング・アートワークを担当された今井慎太郎さんに電子メールでお話しをお伺いしました。

 

audiblescape

 

V. A. / audiblescape

halfpi records 2016年04月01日 配信開始

http://halfpi-records.com/index_j.html

 

 

 

■今井さんは 2015 年 3 月に、halfpi records というレーベルからご自身の CD「動きの形象」をリリースされています。この CD には、1998 年の作品「共鳴するクォーク」から 2014 年の「あは 笙とエレクトロニクスのための」に至る今井さんの創作の軌跡が収められています。ライナーノートには「本アルバムに収録された作品群は概して、あらゆる自然音に含まれるノイズの微細な運動を方向づけることに関わっています」と述べておられます。この「ノイズの繊細な運動の方向付け」というコンセプトに至られた経緯や、作曲における具体的なその実践の方法などについてお話しいただけますか。

大学生のころ、コンピュータを用いた様々な音合成や音声信号処理を学ぶなか、特にグラニュラー・サンプリングへ傾倒しました。サンプリング(録音)された波形の一部分を 50 ミリ秒程度のごく短い時間ごと再生し、それを無数に重ね合わせることで複雑な肌理を持つ音響を生成することのできる技術です。

これを応用すれば、音高を保ちつつ時間を伸縮して波形を再生する、タイム・ストレッチを実現できます。様々な自然音をストレッチしてみると、通常は認識できない一瞬のうちにも実に複雑で豊かな変化が顕れます。とりわけ、微細で非定常的な「ノイズ」を拡大することで生じる音響に魅了されました。

たった数秒の波形を用い、タイム・ストレッチやグラニュラーの様々なパラメータをアルゴリズム制御し、緊張や弛緩といった音楽的なマクロの律動を獲得する方法を試行錯誤して完成させたのが、「共鳴するクォーク」です。ここで「ノイズの繊細な運動の方向付け」というコンセプトの端緒を獲得します。

その後、ヨーロッパでの活動を通して、西欧音楽における作曲作品の本質はイデアであり、現実に生じる音響はその似像であること、またそれを支えているのが、抽象化された単位としての音である音符や記譜法であることを、強く意識しました。これで、音そのものに淫する自分の指向も明確になりました。

音楽の萌芽は、ノイズの微細な運動として、あらゆる自然音の内にすでにある、という立場を僕はとります。ここでの作曲者の役割は、単位からの構築ではなく、音を見立て、そこに含まれる興味深い運動に誇張や隠ぺいといった変形を施し、始まりと終りのある音楽作品として方向づけてゆくということです。

 

■ 2000 年には、国立音楽大学音楽デザイン学科の制作によるコンピレーション CD「 9111281730 」が制作され、今井さんの 1998 年の作品「 Resonant Waves 」が収録されています。この CD のライナーノートには「1991 年 11 月 28 日、NeXT コンピュータと IRCAM シグナル・プロセッシング・ワークステーション( ISPW )が国立音楽大学音楽デザイン学科の主催する『 Try_Out コンサート』で日本デビューを果たしました。(略)しかし、21 世紀を迎えようとする現在、NeXT コンピュータと ISPW はその役目を終えようとしています。ここに NeXT コンピュータと ISPW へのメモリアルとして、音楽デザイン学科でつくられたコンピュータ音楽作品を収録し、さらに『 NeXT Step 』へと踏み出します」と述べられています。現在、今井さんは国立音楽大学で教鞭を執られておりますが、今井さんが関わられた範囲での、国立音楽大学における 2000 年代以降の「 NeXT Step 」についてお話しいただけますか。

西欧「現代音楽」の文脈や IRCAM からの大きな影響下にあった 90 年代から、マルチ・チャンネル、オーディオビジュアル、パフォーマンス、センサー・デバイス、モバイル・アプリなど、コンピュータを軸にしつつも表現の領域を拡大していったのが、国立音楽大学における 2000 年以降です。

また、イデア —— 似像モデルの音楽において楽器演奏家が担保していた実際の音響クオリティが、「コンピュータ音楽」においては見過ごされがちであるという反省から、録音や編集、ミックス、マスタリング、PA といった音響エンジニアリングも、すべての学生が修得できるように強化しています。

 

■今回、halfpi records からリリースされたコンピレーション・アルバム「 audiblescape 可聴風景」は、「国立音楽大学コンピュータ音楽研究室 電子音響音楽作品集」という副題が付き、藤城達也さん、福田拓人さん、笠原駿一さん、石川将貴さん、郭 一恵さん、蒋 斯汀さんの作品が収録されています。このようなコンピレーション・アルバムを制作されることになった経緯について、「編纂・マスタリング・アートワーク」について、そして、個々の若手作曲家の方々について、今井さんからひとことコメントをお願いできますでしょうか。

コンピュータ音楽研究室で制作された作品のうち、ライブ作品や映像作品についてはYouTubeのチャンネル(https://www.youtube.com/user/SonologyDept)にてこれまでに多数を公開してきました。しかしながら電子音響音楽作品についてはその機会がなかったため、レーベルの2作目として、ぜひ世に出したいと考えました。

国立音楽大学に勤務を始めて今年度で 10 年目、その間に学生が制作した最良の作品群から、アルバムとしての構成を念頭に編纂しました。B. カッツの提唱する K-20 メータを活用したマスタリングは、広大なダイナミックレンジと芯のあるラウドネスを確保した、電子音響音楽に相応しいものと自負します。

アートワークには、ミクロな肌理からマクロな構造を立ち上げる、本アルバムの作品群に共有の美学を象徴する写真を撮り下ろしました。フォントには敬愛する A. フルティガーの、写真の微細さとのコントラストが映える幾何学的な Avenir を選び、印刷物では難しい領域いっぱいの配置を行いました。

以下、各収録作品についてコメントします。

現在はダンスポップ・マエストロ Tomggg として高名を馳せる藤城達也の「ヌエ」は、フルートのみを音素材としながらも、タイトル通り変幻する妖魔のごとく収縮と飽和を繰り返す、力動的で高密度な作品です。歴史的にも多くみられる鳥の囀りをフルートで模した音楽の、新たな傑作といえます。

オーストリアで作曲家として活躍する福田拓人の「衛星」は、重力や遠心力などの力学がはたらく場で運動するかのような多数の音楽的・音響的レイヤーが、モティーフ間を緩やかに補間してゆくことで総体を形づくります。簡潔な形式に精緻な構造が内包される、非常に完成度の高い作品です。

笠原駿一の「出発」は、長野県茅野市民館で開催されたイベント「 Play with Sound Scape 」をきっかけに生まれた作品。横溢する情緒に鋭利な断面を与える、透徹した編集が冴えわたります。マスタリングで一切 EQ を当てる必要のなかった驚異的な高音質も特筆です。

石川将貴の「ハニカム」は、持続する微弱な細粒音による緊張が瞬時の爆発により開放される、ハイ・コントラストでグラマラスな作品。コンサートでの上演時には、無指向性を含む 10 台以上のスピーカを用いて音の「仮想ハニカム空間」が構築されました。諸種の打楽器が音素材となっています。

2012 年の美術手帖「シブカル杯。」においてグランプリを獲得するなど多才を発揮する郭 一恵の「少年の夢」は、張りつめたガラスの糸へ徐々に角度を変えながら反射する月光のような高音が、聴くものの感覚を研ぎ澄ませてゆきます。アルバム中、最も静かで、最も狂気を孕んだ作品。

国立音楽大学博士課程に在籍しながら今夏からパリの IRCAM で研鑽を積むことになった蒋 斯汀の「地平線」は、異なったスケールで輻湊する時間軸上に、可聴域を上下に超えてなお伸びてゆく、SF 映画のサウンド・エフェクトを想起させる艶やかで多彩な音響が展開されます。

 

■今井さんの、そして、国立音楽大学コンピュータ音楽研究室の、今後のご予定についてお話しいただけますか。

自身の予定としては、まず 10 月末にドイツのマクデブルク市で行われる音楽祭「 SinusTon 」に招聘され、箏とテグム、カヤグム、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、エレクトロニクスのための委嘱作品初演を行います。来年 3 月には、スイスのデュオ UMS ’n JIP のための新作を東京で初演します。

また、halfpi records の3作目として、2011 年にバウハウス・デッサウ財団のバウハウス舞台のために制作した電子音響音楽をリリース予定です。

コンピュータがデバイスから「溶け」だしてわれわれの身辺に浸透してゆくであろう今後、「コンピュータ音楽」も新たな局面を迎えるでしょう。西欧音楽の文脈は一方で引き継ぎつつ、他方では VR や IoT、カーム・テクノロジーといったキーワードを踏まえ、コンピュータ音楽研究室を運営しています。

 

■ますますのご活躍を期待しています。どうもありがとうございました!

 

 

■お知らせ
JSEM 電子音楽カレンダー 今月のピックアップ」は、2016 年 7 月で2周年となります。これを期に「今月のピックアップ」は終了することといたします。あと2ヶ月ほどではございますが、自薦、他薦を問わず、インタビューなどのご希望がございましたら、川崎までお知らせください! どうぞよろしくお願い申し上げます。

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JSEM 電子音楽カレンダー/2016 年 5 月のピックアップ

 

 

JSEM 電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

今回は、2016 年 5 月 10 日にリリースされた委細昌嗣さんの CD「Title fit I felt it」をピックアップいたします。委細さんに電子メールでお話しをお伺いしました。

 

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委細昌嗣 Title fit I felt it

MISAI001 2016年05月10日発売

http://diskunion.net/jp/ct/detail/1007079883

 

 

■委細さんのプロフィールには「2010 年までジャズギターを菊地 晃氏に師事。現在、商業音楽理論(バークリーメソッドによる和声理論)、並びに多層的律動構造(ポリリズム)を菊地成孔氏に師事」とあります。これまでの音楽家・作曲家としての歩みについてお話しいただけますか。

学生時代は、友人のバンドでギターを演奏していましたが、それまで音楽を習ったり勉強をしてきたことがなく、自分の演奏に限界を感じまして、大学卒業後にジャズギターを菊地 晃氏に師事しました。

ジャズにもともと興味があったわけではありませんが、たまたま入ったスクールがジャズスクールで、そこからジャズに興味を持ちました。そのころからフリージャズや現代音楽に興味をもち現在のようなスタイルの音楽製作を少しづつですが開始いたしました。

その後、私の興味が音楽を演奏するよりも作品制作の方に興味が湧いてきまして、本格的に音楽理論を勉強したいと思い、2013 年より菊地成孔氏に音楽理論を師事しております。

homepage
http://star.gmobb.jp/m.isai/

soundcloud
https://soundcloud.com/masashi-isai/

 

■ 2013 年にはリュック・フェラーリのテープ・アーカイブを使用したコンクール「プレスク・リヤン賞」に応募された作品「 Oto no tegami 」が、審査員の椎名亮輔さんによると「友人の声による鉄道のアナウンスについて、何を言っているかわからないが、それを軸に音楽がよくまとまっていると高評価を得ていた」とのことです。このコンクールに応募された経緯や「 Oto no tegami 」という作品についてお話いただけますか。

まずリュック・フェラーリさんの事は、お亡くなりになられた後にリリースされた CD で知りまして、本当に素晴らしい作曲家だと思っていました。

その時期くらいにプレスク・リヤン協会日本支局の twitter でコンクールの事を知り、作品を是非聴いて頂きたいと思い応募致しました。

私の作品「 Oto no tegami 」は、リュック・フェラーリさんのアーカイブ音源を彼からの音の絵葉書、手紙と考え、彼に返信をするような作品にしようと考えて、タイトルを「音の手紙」にしました。

手紙なので、何処から送られたのかという「音の手紙」の消印というか切手のようなものが必要だと思い、作品の最初と最後に私の町の音と最寄り駅のアナウンスを入れました。

本来なら本物の駅のアナウンスを使用したいところでしたが、権利関係上の問題で鉄道会社から許可がおりず、鉄道会社勤務の友人にアナウンスをお願いしました。以上のような経緯で、私の作品には友人の声が入っております。

「プレスク・リヤン賞」に応募してリュックさんの音源に触れることが出来たのは、本当に貴重な経験で勉強になりました。応募して本当に良かったです。

 

■今回発売された CD「 Title fit I felt it 」は、CD を利用したメディア作品のようです。CD には 97 のトラックが収録されており、1 トラックごとに「アルファベットと日本語の文字、平仮名」が割り当てられ、再生の順序によって、曲が生成されるという仕組みのようです。このようなメディア作品を構想されるに至った経緯や、この CD 作品についてお話しいただけますか。

私が今まで製作しておりました作品は、パソコン上のソフトで管弦楽等の音を使用し製作された、ただ録音されるだけの作品でライブ演奏を行えないものばかりでした。

そのような際に本で読んだクリスチャン・マークレイ氏の演奏に対するインタビューで「レコードに録音された素晴らしい作品に敬意をもっていますが、録音された音楽は剥製と同じで生きたものでないので、音楽を生きた形で使用するために演奏している」というような内容の記事に感銘を受けました。それから自分なりに録音物の剥製化から如何に音を開放するかを考え始めました。

私は今年 37 歳で、日常において音楽作品に接するときは、CD で接してきた世代です。なのでレコードでもなく、mp3 でもなく CD というメディアでしか表現できない作品を製作したいと思い製作しました。

その方法論として、以下のような、この作品の試聴方法に3つの方法を作りました。

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①全ての曲で1曲。
1曲目から最後まで聴くと CD のタイトルの「 Title fit I felt it 」という曲になります。

②文字から曲になる聴き方。
例えば 20 曲目「 T 」、15 曲目「 O 」、11 曲目「 K 」、25 曲目「 Y 」、15 曲目「 O 」の順番で再生しますと「 Tokyo 」という曲になります。

③ランダム再生。
アルバムを複数台の CD プレイヤーでランダム再生させて、CD プレイヤー同士が、あたかもセッションしているようになります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

特に「③ランダム再生」ですが、CD プレイヤーは mp3 のランダム再生と違い、曲と曲の間に曲のサーチ時間が生まれますので、mp3 では再現できないセッション感が生まれます。

以上ような方法で録音物の剥製化から、私なりに音を開放する作品に致しました。

 

■今年の 1 月には、CD「Title fit I felt it」の曲をライブで上演されたようですが、ライブではどのような形態で演奏されたのでしょうか。また、SoundCloud なども含めた録音再生メディアに記録された作品と、ライブでの演奏とのあいだにはどのようなアプローチの違いがございますでしょうか?

録音再生メディアに関しましては、今回の CD も3つの試聴方法がありますが、基本的には録音されたものが時間軸にそって順番に流れてきます。

ライブ演奏では私が CDJ を使いましてその場でリアルタイムで作品をコラージュして行くことにより、ライブ演奏そのものがリアルタイムで行われるリミックス作品であり、リアルタイムで行われる録音物の剥製化からの音の解放になります。

ちなみに今回の作品が 97 トラックある理由は、文字数が 97 文字あるので 97 トラックですが、他の理由としましては、リアルタイムで様々な形のコラージュ作品にするためのライブ演奏の事も考えまして、なるべくトラック数を多い作品をと思い、私の 1st CD「 Title fit I felt it 」は 97 トラックになりました。

 

■今後のご活動の予定についてお話しいただけますか。

6/9 に東京の七針で舞踏家であり音楽家の山田有浩さんの舞踏のライブに音で参加します。

5/11 にも山田有浩さんの踊りに山田さんが製作した音をリアルタイムで編集して参加しましたが、6月のライブは、5月よりも山田さんの空間を活かすような音にしようと考えております。

それと私自身まだ1枚目の CD を出したばかりですが、既に6枚目のアルバム分のコンセプトがありまして現在2枚目と3枚目の CD 製作を同時に開始しております。

今回リリースしました CD「 Title fit I felt it 」も、6月のライブも次のアルバムも皆さんご興味もっていただけるように今後も頑張ってまいります。

最後になりましたが、川崎様、日本電子音楽協会の皆様 今回は貴重なインタビューの機会本当にありがとうございます。

 

■ますますのご活躍を期待しています。どうもありがとうございました!

 

 

■お知らせ
JSEM 電子音楽カレンダー 今月のピックアップ」は、2016 年 7 月で2周年となります。これを期に「今月のピックアップ」は終了することといたします。あと2ヶ月ほどではございますが、自薦、他薦を問わず、インタビューなどのご希望がございましたら、川崎までお知らせください! どうぞよろしくお願い申し上げます。

■お知らせ その2
委細さんのご厚意により、 CD「委細昌嗣 Title fit I felt it」を2名さまにプレゼントできることになりました。ご希望の方は、2016 年 5 月 31 日までに、川崎までお知らせください。抽選の上、CD をプレゼントいたします。

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JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」3

 

 

JSEM電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

2016 年 3 月 18 日 (金) に日本電子音楽協会の主催により、BEARS(大阪)にて、コンサート「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」が開催されます。

先日公開いたしました、JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」1JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」2に引き続き、「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」にご出演される由雄正恒さんに、今回のコンサートについてのお話しを電子メールでお伺いしました。

 

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電子音楽なう! vol.5 in 大阪
2016 年 3 月 18 日 (金) 開場:18:30 開演:19:00
会場:BEARS(大阪)
料金:¥2,000

 

成本理香 / The Sealed Forest II for flute and electroacoustics(フルート: 丹下聡子)
Molecule Plane / Acousticophillia
門脇 治 / オーロラ #2.5
RAKASU PROJECT. / 見えない音
石上和也+かつふじたまこ+泉川獅道 / Wabient Sabient – 侘び縁と 寂び縁と – ver 0.0
由雄正恒 / Air No. 3 for Leap-motion and Max (2016)

 

企画構成:石上和也、かつふじたまこ、泉川獅道、由雄正恒
主催:日本電子音楽協会
お問い合わせ:石上和也 mail@neus318.com

 

 

 

由雄正恒さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

学生の頃、先生や先輩からJSEMのことを聞いていて、定期演奏会に聴きに行ったりしてました。その頃はまだ学生会員という制度もなかったと思います。大学を卒業し、作曲家として成人したのがきっかけで入会したと思います。

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や 、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

自分はセンサーを作れないので、センサーものには取り組んでなかったのですが、leap motionは既存のセンサーとは違った楽器としての面白みと可能性を持っていて、技術者ではない者でも、音楽とテクノロジーの勝負ができるのではないかな、と妄想して作っている作品シリーズの第3番をお届けします。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

常に現在進行形で考えていきたいと思ってます。過去の振り返りもあり、過去の刷り直しという部分も見えるかもしれませんが、一つ、「あ、この要素は、今まで考えなかった」という発見ができればいいな、と思ってます。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!

気楽に真面目にごゆるりと

 

 

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JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」2

 

 

JSEM電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

2016 年 3 月 18 日 (金) に日本電子音楽協会の主催により、BEARS(大阪)にて、コンサート「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」が開催されます。

先日公開いたしました、JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」1に引き続き、「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」にご出演される 成本理香さん、石上和也+かつふじたまこ+泉川獅道さんに、今回のコンサートについてのお話しを電子メールでお伺いしました。

 

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電子音楽なう! vol.5 in 大阪
2016 年 3 月 18 日 (金) 開場:18:30 開演:19:00
会場:BEARS(大阪)
料金:¥2,000

 

成本理香 / The Sealed Forest II for flute and electroacoustics(フルート: 丹下聡子)
Molecule Plane / Acousticophillia
門脇 治 / オーロラ #2.5
RAKASU PROJECT. / 見えない音
石上和也+かつふじたまこ+泉川獅道 / Wabient Sabient – 侘び縁と 寂び縁と – ver 0.0
由雄正恒 / Air No. 3 for Leap-motion and Max (2016)

 

企画構成:石上和也、かつふじたまこ、泉川獅道、由雄正恒
主催:日本電子音楽協会
お問い合わせ:石上和也 mail@neus318.com

 

 

 

成本理香さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

現在、名古屋市立大学芸術工学部の水野みか子研究室の研究員をしておりまして、その関係で昨年入会いたしました。大昔(?)、母校の愛知県立芸術大学に在学中に作曲や電子音楽を師事した先生方や卒業生の方々が協会設立の頃から関わっておられたので、協会主催のコンサートなどには、よく足を運んでいました。

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や 、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

今回の作品を作ろうと思ったきっかけは、親しい友人でもあり私のフルートのための作品のほとんどを初演しているフルート奏者、丹下聡子さんが何人もいたらいいのになあと、妄想したことです。彼女には昔から「森」をテーマに作曲した作品をよく演奏してもらったので、今回もそうしました。

上演の形態としては,フルート演奏と電子音響ですので、とくに目新しくないとは思いますが、現時点では、丹下さんの音が電子音響からも沢山聞けるような作品になる予定です。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

もともと、あまり自分の作品における「現在」ということを考えずに作曲する方なので、今回の作品でも特別「現在」の要素を感じられるものかどうかは自分ではわからないのですが、自分自身だけのことについて言えば、この数年間妄想して来たことを形に出来るということでは、私の「現在形」と言えばいいかもしれません。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!

コンサート自体は、様々なタイプの作品が聴ける面白いものになりそうですし、私自身もとても楽しみにしていますので、ぜひ会場に来て色々な音楽を楽しんでいただきたいと思います。

 

 

石上和也+かつふじたまこ+泉川獅道さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

2000 年に、パリ INA-GRM にて開催された、ミュージック・コンクレートの夏期アトリエに参加したのを機に、毎年東京で開催されている CCMC(コンテンポラリー・コンピュータ・ミュージック・コンサート)に継続して参加させて頂くことになり、そこで由雄さんをはじめ、たくさんの作曲家の方とつながりを持つようになりました。遅ればせながら、昨年入会させて頂きました。よろしくお願いします。(かつふじたまこ)

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

石上と泉川、石上とかつふじのセッションは、これまでも幾度かありましたが、三つ巴での演奏は初の試み!

Wabi 担当の泉川が虚無僧尺八を奏で、Sabi 担当のかつふじが鍵盤ハーモニカ他でポツリポツリと語り出し、ent 担当の石上が自作シンセサイザーで包み込む、「侘び縁と寂び縁と」。予測不能なトキメキ音物語をお楽しみください。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

作曲においても技術の進化は日々進み、アイデア次第で様々な音を作り出すことが容易になってきています。

しかしそんな現在においても、初めて音を記録することができた時代に作曲家が感じたであろう驚きとトキメキ、そして何気ない身の回りの音への愛着と探究心は忘れずに、アート界に限らず今の私たちを取り巻く様々な状況、思いを常に敏感に感じ、体の中にきちんと落とし入れ、今を生きる私たちの音を出せたら、それが「なう」かな、と。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!

「電子音楽ってなに〜??」という方もお気軽にいらしてくださいね。

一緒にのんびりと「音」を楽しんで、わいわいしましょう (^∇^)/

(文責:かつふじたまこ)

 

 

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JSEM電子音楽カレンダー/今月のピックアップ特別篇「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」1

 

 

JSEM電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

2016 年 3 月 18 日 (金) に日本電子音楽協会の主催により、BEARS(大阪)にて、コンサート「電子音楽なう! vol. 5 in 大阪」が開催されます。

このコンサートにご出演される Molecule Plane(大塚勇樹)さん、門脇 治さん、RAKASU PROJECT.(落 晃子)さんに、今回のコンサートについてのお話しを電子メールでお伺いしました。

 

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電子音楽なう! vol.5 in 大阪
2016 年 3 月 18 日 (金) 開場:18:30 開演:19:00
会場:BEARS(大阪)
料金:¥2,000

 

成本理香 / The Sealed Forest II for flute and electroacoustics(フルート: 丹下聡子)
Molecule Plane / Acousticophillia
門脇 治 / オーロラ #2.5
RAKASU PROJECT. / 見えない音
石上和也+かつふじたまこ+泉川獅道 / Wabient Sabient – 侘び縁と 寂び縁と – ver 0.0
由雄正恒 / Air No. 3 for Leap-motion and Max (2016)

 

企画構成:石上和也、かつふじたまこ、泉川獅道、由雄正恒
主催:日本電子音楽協会
お問い合わせ:石上和也 mail@neus318.com

 

 

 

Molecule Plane(大塚勇樹)さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

大阪芸術大学大学院を卒業後、昭和音楽大学の由雄先生にお誘い頂き、入会しました。何年も所属している割に、日本電子音楽協会のイベントに出演するのは実は初めてです。

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や 、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

「Molecule Plane」名義で現在制作中のアルバムより新曲を演奏する予定で、この名義での作品をアクースモニウムで上演する事はこれまでに何度かありましたが、ライブ形式では初です。

「Acousticophilia(=音響性愛)」というタイトルですが、これは作品名というよりも制作中のアルバムのテーマのようなものです。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

ここ数年は「Acousticophilia」という言葉の意味にあるように、音色と音響に特化し、持続的なサウンドでありながらも、さながら「ドローン・パンク」「アンビエント・パンク」とも呼べるようなエッジの効いたものを目指して作り続けているわけですが、同時に「オーディオ的に矯正されない音楽/オーディオ的に正しいとされることからの逸脱」でもあると思っています。そしてそれは、音楽として聴きにくかったり耳が痛くなったりといったヒステリックな要素を取り除いていくこととは全く矛盾しません。

また、素材となる音や音楽そのものはあくまで録音されたアナログ・シンセサイザーの音やフィールド・レコーディングに基づいてはいるのですが、それって実は物凄く今っぽいというか、ここ数 年の電子音楽にとっての現在進行形の大切な要素ではないかと思います。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!
例えば「癒し」と「暴力衝動」といったような、一見正反対に位置するようなものでも実は一つの音楽に同居し得ると考えています。そういった事を可能にし、また等しく扱うことができるのも電子音楽の醍醐味だと思いますので、是非体験しに来てください。

 

 

門脇 治さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

仙台で電子音楽と言えば、日本電子音楽協会の理事をされていた岡﨑光治先生です。仙台電子音楽協会設立および演奏会をお手伝いさせていただきましたが、その後彼に薦められて日本電子音楽協会に入会させていただきました。定期演奏会や「なう」に何度か出品させていただいております。現場に立ち会うことが一番です。

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

#2 はピアノの生演奏を伴います(まさに今演奏し終えたところ)が、#2.5 は生音なしで演奏してみます。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

ピアノのサンプリング音源の音響はもの凄く進歩していますが、ハーモニクスの音響は市場にないと思われます。そこで、ピアノのハーモニクスをサンプリングしたものをメインに構成しようと思ったのが、この作品です。技術的に出来る事と出来ない事においての「現在」。そこでこういうことをやってみようかという私の「現在」。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!

「なう」を共有しましょう。

 

 

RAKASU PROJECT.(落 晃子)さんインタビュー

 

■日本電子音楽協会との関わりについて教えていただけますか。

石上和也さんからご紹介をいただき、2014 年度に入会いたしました。同年の電子音楽なう!vol. 3 にも出演させていただきました。

 

■今回の「電子音楽なう!」で演奏される作品の内容や、上演の形態について、現時点でのご予定などお話しいただけますか。

今回は、昔の黒電話の音声録音用マイク「テレフォンピックアップ」を使い、様々な電子機器・電気器具類から発せられる電磁波ノイズを拾い、エフェクタ等で加工しながら即興演奏をする予定です。目には見えないけど、そこに確かに存在する何かを探りあてていく試みです。

 

■「電子音楽なう!」は広い意味での電子音楽の「現在」を提示するイベントなのではないかと思います。ご自身の作品における「現在」の要素について教えていただけますでしょうか。

「電子音楽」の「現在」というわけではないのですが、今回の演奏に関して言えば、その時その場にあるものから発するノイズを音源と致しますので、まさに「現在」を炙り出す試みであると考えております。

 

■聴衆のみなさまに向けて、一言お願いいたします!

即興なので、当日どんなふうになるか、本人にも予測できない部分が多々あります。何か、おかしな・面白いノイズの発生する機器をご存知でしたら、ぜひご一報ください。

 

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電子音楽なう! Vol.5 in 大阪 ( 20160318 )

電子音楽なう! Vol.5 in 大阪
2016年3月18日(金)
18:30 開場
19:00 開演
料金:2,000円
会場:Namba BEARS ( http://namba-bears.main.jp )

 

出演:

成本 理香
The Sealed Forest II for flute and electroacoustics
(フルート: 丹下 聡子)

Molecule Plane
Acousticophillia

門脇 治
オーロラ #2.5

RAKASU PROJECT.
見えない音

石上 和也+かつふじ たまこ+泉川 獅道
Wabient Sabient – 侘び縁と 寂び縁と – ver0.0

由雄 正恒
Air No.3 for Leap-motion and Max (2016)

 

企画構成:
石上 和也 かつふじ たまこ 泉川 獅道 由雄 正恒
主催:
日本電子音楽協会

お問い合わせ:
石上 和也 mail@neus318.com

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JSEM電子音楽カレンダー/2016年2月のピックアップ

 

 

JSEM電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

2016 年 2 月に開催されるイベントから、1 月から 2 月にかけて NTT インターコミュニケーション・センターにて開催されている「オープン・スペース 2015 情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 車輪の再発明プロジェクト #6」をピックアップいたします。こちらのイベントにて作品を発表されている johnsmith さんに電子メールでお話しをお伺いしました。

 

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オープン・スペース 2015 情報科学芸術大学院大学[IAMAS] 車輪の再発明プロジェクト #6

日 程:2016 年 1 月13 日 (水)〜
会 場:NTT インターコミュニケーション・センター(東京)

johnsmith / 超超短距離電信装置 (2016)
johnsmith / Choose one, if you want. (2016)
johnsmith / 運動ーコイルと磁石の場合 (2016)
大島拓郎 / ソノラマ「このはら」(2016)
高見安紗美 / Strip Sound Source Speaker (2016)
上田真平 / 1 / 0 / 1 (2016)
佐藤大海 / ふれる 分離されたピックアップの機構と振り子によるエレキギター (2016)
具志堅裕介 / BODY/SHADOW (2016)

http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2015/Openspace2015/Works/Re_inventing_the_Wheel_j.html

 

■ johnsmith さんは 2013 年から 2015 年にかけて情報科学芸術大学院大学(IAMAS)にて学ばれています。IAMAS へと進まれた経緯や IAMAS でのご研鑽などについてお話しいただけますか。

intro
IAMAS への入学を志したきっかけは学部時代の恩師の助言です。

元々私は多摩美術大学の久保田晃弘教授と三上晴子教授のもとで学んでいたのですが、学部四年の中盤頃、将来を決めあぐねていた私は一念発起して何としてでも大学生活を延長したい、優雅なるモラトリアムこそ人間を成長させる最も尊きものであろう、と思い大学院への進学を考え始めていました。

しかし、大学というのは閉鎖的な環境なので、あまり他の大学との関わりもないし、この頃のわたしは作品制作以外全くしていないという状況でしたので、他の学生以上にその傾向が強かったんです。関東圏の予備校生が東京藝術大学と五美大(女子美術大学、多摩美術大学、東京造形大学、日本大学藝術学部、武蔵野美術大学)を目指すのと同じように、漠然と芸大かタマビの院が良かろう、と思ったわけですね。ところが、先立つものがない、という現実的な問題に直面するわけです。となると学費が高い私立美大であるタマビはどうやっても志望できないわけです。というわけで藝大を受けるか、しかし藝大は学部時代に 2 次試験の面接で落ちている。講師陣もさして変わっていない訳で、正味な話受かる訳ないだろうと思ってました。

で、そんな時にIAMASの存在を知ったんですね、ドイツ留学の時や様々な進退を決める時に助言をいただいていた三上先生に「マルちゃん(本名由来のあだ名)なら城くんがいいんじゃない?」と言われて、それから現在の主査である城一裕先生について調べてみました。

入学してからは基本的に身体表現を主に研究していたのですが、あるとき三輪眞弘教授の『インターネット・ストリーミングに接続された筋肉刺激装置による「流星礼拝」』というパフォーマンスを見たんですね。それですごい衝撃を受けた。ここで全部やられてるわけです。僕のやりたかったことが、もう、全部。

簡単に説明してしまうと、システム的には電気を筋肉に流して表情を変化させる真鍋大度さんの『electric stimulus to face』と似たようなシステムなのですが、この作品では鈴を持った演者の腕に電極を取り付けて、電気刺激で腕を強制的に運動させて演奏させるんです。ここで舞台に立つ人というのは、全く訓練を受けていない、というかもっと言えば、電気刺激で動く筋肉さえ持っていればいいわけです。演劇やダンスなどで言われる、「特権的肉体」の全く存在しないパフォーマンスなわけです。まさに僕が理想とする舞台表現だったんですね。おそらく後にも先にも僕はあれより素晴らしいパフォーマンスを見ることはないでしょう。というわけで、僕はそれを見て一度パフォーマンスからは離れたものを作ってみるべきだ、と思ったんです。それから城先生のもとで音響学に基づく作品制作を始めました。

 

■2013 年11 月にスロヴェニアにて開催された、MFRU(International Festival of Computer Arts)、同年 12 月の九州大学における「インターカレッジコンピュータ音楽コンサート2013」などで、johnsmith さんはパフォーマンスで参加されています。こうした機会に行われたパフォーマンスについてお話しいただけますか。

寺山修司の詩に「踊りたいけど踊れない」という言葉があります。

学部時代から僕はデジタルデバイスを使った身体表現の研究していました。ダンスなどの専門的な教育を受けていない人間がいかに人前に立つことができるのか、という観点で制作した作品群がこれらのイベントで上演された作品になります。

これらの作品は僕自身の、楽器が演奏できたりダンスができる人に対するルサンチマンの発露で、つまりシャイで人前に立つのが苦手な自分がいかにして彼らより目立つことができるか、という試みだったんですね。まず踊れない人というのはリズムが取れません。楽器ができない人というのは楽譜が読めませんし(一応ちょっとは読めますが)、耳障りのいい音を奏でることができません。そのような障害をいかにして乗り越えることができるかと考えて、コンピュータ技術やセンサー類を使って踊れない理由を一つ一つ潰していく、という工程を経ています。

はじめは YAMAHA の「Miburi」というウェアラブル楽器を参考に、音楽に合わせて体を動かすのでなく、体の動きによって音を生成することで、逆説的にその行為をダンスと言い張れないか、という方向性を模索しました。

2010 年に多摩美術大学内で行った最初の上演はひどいもので、システム的には靴に仕込んだスイッチを踏み込むことでリズムを構成し、指の曲げで音響を作っていく、というものだったのですが、まずリズムを作ることができず、指の曲げだけだと体の動きを規定するものが何もないので、結局このデバイスだけでは踊ることができず、ただ私が赤面するばかりでした。

その後、音響をリズムに依拠しないアンビエントなものに、体に複数のセンサーをつけ体の傾きなどの様々な情報を使って音響を生成するのではなく、身体の動きによって音響を制御する、という構造を持たせました。能動的に踊る、というのは素人には難しいですね、拍子はずれな動きをした時に笑われるのではないか、みたいな恐怖がある。だから構造的に踊るのではなく、踊らされる、踊らざるを得ない、そういう構造を持たせるべきだろう、と。

それでなんとか人前で踊れるようになりました。そうなってくると今度は舞台を演出したくなってくるんですね、でもシャイだから他のスタッフさんにやってもらうのではなく自分一人でなんとかしたい。というわけで山川冬樹さんの電球を使った心音のパフォーマンスと、クワクボリョウタさんの『 10 番目の感傷(点・線・面)』を参考に自分の身体を電球によって壁面に大きく投影する。というアイディアを思いつきました。電球との位置関係で作り出す影は舞台の背面や客席にも届きます。自分の身体によって干渉できる範囲を舞台から客席まで拡大するわけです。

こうやって出来上がったパフォーマンスが『This is not.』です。その後、この作品で用いた電球との位置関係で映像表現のように自分の身体よりも大きなイメージ(視覚情報)を操作できる、という点に興味が移り、電球の発する電磁波を身体をアンテナにして受信し音響を生成する『Electro Voice』を制作しました。その制作の延長で、電気信号を自分の体を通して、舞台上のオーディオ端子に接続されたもう一人の人間に接触することで通電させ、人間を通過した電気によるノイズ音響を作り出すパフォーマンス『彼と彼女の間に流れる電流の相互関係に見る彼と彼女の関係性について』を制作しました。

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現在では自分で演じるのではなく、舞踏譜を記述することで他人に踊ってもらう、という方向にシフトしてきています。これまでの作品では自分が踊れないことをごまかすために要素過多になる傾向が強かったので、演者に伝わるように舞踏譜を記述する過程で本当に見せたいものを絞り込むような制作手法を試みています。

 

■ 2014 年 11 月に洗足学園音楽大学にて開催された「インターカレッジ・ソニック・アーツ・フェスティバル 2014」と、2015 年 2 月に開催された「IAMAS 2015」において、「Toru: モスキート音によって年の功を逆転させるあそび」を発表されています。この作品の詳細は先端芸術音楽創作学会の会報に掲載されていますが、ご自身のパフォーマンスと「Toru」のような作品は、ご自身ではどのような関係にあるとお考えでしょうか。

僕にとってはこれらの作品とパフォーマンス作品に優劣をつけるというような意識はないです。ただ、僕自身、身体表現にしてもなんにしても何かしらの専門家であるというふうには考えていないので、それぞれの分野から得たものを使って、芸術というフィールドで自分の見たいものや体験したいものが作れたら、というのは動機としてあります。

Toru

Toru: モスキート音によって年の功を逆転させるあそび」は元々モスキート音を使えば子供にだけ情報を伝えることができる、という気づきから出発しています。社会的にネガティブなモスキート音の用いられ方を逆転して、従来この超高周波からの攻撃にさらされている子供達にとってポジティブに用いることができるのではないか、というアイディアでした。もともとは子供だけが聞き取ることのできる音の舞踏譜というものを考えていたのですが、優劣がハッキリ出るものの方が良いだろうと思い、遊び、ゲームという形式をとることにしました。

この作品では、言い方は悪いんですが簡単に言ってしまえば、子供に親や周りの大人を明確に見下せる機会を与えたかったんです。「僕はこんなこと簡単にできるのに、お父さんやお兄ちゃんにはできないんだ。」みたいな。僕は性格が悪いので、人間の醜いところがよく見えたらいいな、と思ってものを作ります。調子に乗った子供の醜さとか、「子供に負ける」ということを極端に恐れる大人の醜さとか、逆に「子供に負けてあげる」ということを進んでする大人の醜さとか、ぜんぶ。

 

■ICC にて開催中の「車輪の再発明プロジェクト」では、「技法:(1) コイル、(2) 磁石、を与えられたものとせよ」というテーマに基づく「超超短距離電信装置」「Choose one, if you want.」「運動ーコイルと磁石の場合」の 3 作品が展示されているようです。これらの新作についてお話しいただけますか。

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これらの作品群は Jess Rowland らの平面スピーカーの研究 [1] を踏まえ、スピーカーの最小構成単位をコイルと磁石と捉えてスピーカーを再発明する試みとして制作されています。これらに用いられている技術要素は IAMAS 在学中から研究していたものです。アンテナなどの電波や電磁石の発する電磁気を作品制作に応用しようといろいろな実験を重ねていたのですが、これらはその成果とも言えるものですね。基礎的な知識のみでアンテナやスピーカーを自分の手で作りながら発見した現象を提示しています。

期せずしてこれらの現象は工学の世界では技術的に非効率であったり、より優れたものが発明されて忘れ去られていった技術の引き起こすものととても似通っています。現状用いられている音響技術によるものとは異なる音響体験を提示するこれらの作品群は城講師の推進する「車輪の再発明プロジェクト」の理念 [2] に沿って言うならば「ありえたかもしれない今」を提示するものといえるでしょう。

re-inventing

今回の ICC での「車輪の再発明プロジェクト」第 3 期展示の『(1) コイル、(2) 磁石、を与えられたものとせよ − 最小構成単位に分解されたスピーカーによって提示される“振動”』は、同プロジェクトと連携して、僕の作品制作の方法を“技法”として分離し、様々な人に作品を制作してもらうというものです。今回は車輪の再発明プロジェクトの所属学生もこの技法を用いて作品を制作しており、この技法による 7 点の作品が展示されています。

この“技法”という考え方は 1 期、2 期展示で展示された『予め吹きこまれた音響のない(もしくはある)レコード』や、『写植文字盤による多光源植字』、現在も同研究開発コーナーに展示されているクワクボリョウタ准教授の『針穴をあけた紙を通したRGB光源による網点プロジェクション』などの同プロジェクトが本年度の ICC で展示している手法を踏襲しています。

僕が作った技法を共有して異なる現れが見えるというのは、舞踏譜を記述して演者に上演してもらった時に、必ず演者によって異なるものになる、という一つの作品を作る上での協力関係とそれによる相乗効果にも似ています。

 

■今後のご活動の予定についてお話しいただけますか。

すでにご質問の中で話題にしていただいていますが、2016 年 2 月 28 日まで NTT インターコミュニケーション・センター(ICC)の研究開発コーナー「車輪の再発明プロジェクト」展示の中で、僕の提案した技法『「(1) コイル、(2) 磁石、を与えられたものとせよ」− 最小構成単位に分解されたスピーカーによって提示される“振動”』の展示が行われています。この展示も踏まえた研究会の記事も後日アップロードされる予定です。

また、僕の作品は展示されていない期間になりますが、3 月 5 日の午後 2 時から ICC で車輪の再発明プロジェクトの展示に関するギャラリートークが行われるので、そちらもよろしくお願いします。

2 月 25 日から 28 日の間岐阜県大垣市ソフトピアジャパンセンタービルで行われる「IAMAS 2016」にも、プロジェクトの成果発表と、パフォーマンス作品を上演の予定です。

また来年度では 5 月 8 日に八王子音楽祭で開催される「多摩美の音楽実験室 2016 堆積と分散」にパフォーマンス作品を出品の予定です。

この度はインタビューいただきありがとうございました。

 

[1] Jess Rowland, Flexible Audio Speakers for Composition and Art Practice, Leonardo Music Journal No. 23, MIT press, pp.33-36, 2013.
[2] 車輪の再発明プロジェクト 研究概要(http://www.iamas.ac.jp/projects/145

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JSEM電子音楽カレンダー/2016年1月のピックアップ

 

JSEM電子音楽カレンダーでは、担当の川崎弘二が、カレンダーに掲載されている各種イベントを「今月のピックアップ」として月イチでご紹介しております。

2016 年 1 月に開催されるイベントから、今回は趣向を変えて、川崎がお手伝いしているイベントを紹介させていただきたいと思います。

ということで、1月29日(金)に、京都芸術センターにて開催される「檜垣智也 アクースマティック作品による 音の個展」をピックアップいたします。このコンサートに映像でご参加される映画監督の七里 圭さんから、電子メールでコメントをいただきました。

 

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檜垣智也 アクースマティック作品による 音の個展
日 程:2016年1月29日(金) 19:00開演
会 場:京都芸術センター
料 金:前売:2,000円、当日:2,500円、学生:1,500円

http://kojiks.sakura.ne.jp/higaki.html

 

■七里監督は、映画のサウンドトラックについて次のように述べています。

サウンドトラックとは、映されている映像と同じ時間の音の連なりです。
見えているものと聞こえてくるものが、実は分離しているのにシンクロしているから、
人はある世界をそこに感じ、没入してしまう。
それが映画の時間なのだと思います。
この面白さ、不思議さを噛みしめています。
おそらくサウンドトラックという発想は、芝居や踊りの伴奏から、
ごく当たり前に生まれた方式なのでしょうが、それが生演奏や語りではなく、
録音された音に置き換えられたことによって独特のものに変質したのです。
光も音も同じメディアに情報として記録されるようになった今、
映像からサウンドトラックを意識的に引き離し、同期することを体感してみようと言うのが、
このライブ「映画としての音楽」のコンセプトの一つです。

 

■上記した七里監督の文章にもあるように、七里監督は数年前から映画を音から作り始めるという実験に取り組まれており、2014 年4月にライブ「映画としての音楽」が開催されました。そして、このライブで上映された素材などをもとにして、映画版「映画としての音楽」が製作されました。2014 年 11 月に公開された映画版「映画としての音楽」は、2015 年4月に檜垣智也さんの手によってアクースモニウム上映が行われています。

 

■そして、「映画としての音楽」は、オスカー・ワイルド「サロメ」が下敷きになっています。「サロメ」についての関心を七里監督は次のように説明しています。

この戯曲への関心がぼんやりながら高まってきたのは、三年ほど前。
時代の転換点を経験した後のことでした。
ヘロデ王の娘が母のために預言者ヨハネの首を求める、聖書に記されたエピソード。
それが、ワイルドの戯曲が成立する以前から 19 世紀後半の文学や美術の題材として
(とくにフランスで)もてはやされていたと知り、なぜだろうと思いました。
時代の気分――いわゆるデカダンスを象徴したがゆえと解説されていますが、
ではそれはどういう時代だったか考えてみれば、
資本主義が西欧先進国に浸透して、写真やレコードといった複製文化が誕生したころ。
つまり、20 世紀以降、現在に至るまでの社会や文化を準備した時代でした。
そんなことを、のんびりつらつら思い巡らせて一年ほど過ぎたころ、
不覚にも初めて、日夏耿之介訳の「院曲撒羅米」を読んだのです。
衝撃的でした。
研ぎ澄まされた一語一語が喚起する、ただならぬ情感、情景。
文章から、リズムや旋律までもが感じられ、すでに音楽のようでした。
ああ、これだ! と思い“音から作る映画”という構想が一気に浮かんだのです。

 

■その後、2015 年3月には「音から作る映画 2」として七里監督の構成・演出による「サロメの娘」が上演されました。「サロメの娘」では音楽とアクースモニウム演奏を檜垣智也さんが担当され、映像は、紗幕を利用したアナログな方法による3D上映が試みられています。2015 年8月には「サロメの娘」の改訂版がフランスの FUTURA 音楽祭にて上演され、そして、「檜垣智也 アクースマティック作品による 音の個展」において、この改訂版が日本で初めて公開されます。今回の「サロメの娘」の上演について、七里監督から以下のコメントを頂戴しました。

FUTURA で上演された改訂版は初演と何が変わったのかというと、サウンドトラックの一部に音の厚みが増したことと、作品の終始続く語り――1万字を越える日本語テキストの全てを英訳した膨大な字幕を、フレームの上下、そしてプロジェクションの手前と奥をフルに利用し出し続けたことでした。

判読可能かどうかを敢えて考慮せず、現れては消える怒涛のテロップは、英語を母国語としないフランスの人々には、物語を追うことを諦めさせるに十分な効果があったようで、「何だか分らないけど詩だということは分った」というある人の感想(それは実に正しい)の通り、断片的に意の取れる言葉と闇の間に映像がぼんやり浮かび、アクースモニウムで拡張された空間音響と絡み合う、特別な『サロメの娘』の上演になったのでした。

今回の京都上演では、そうした効果は望むべくもないので、もちろん英字幕は一切出しません。けれど、ならば初演と同じものかというとそうでもありません。生まれてから早一年が経つ『サロメの娘』は、成長して、そろそろもう一つの顔を見せることになります。今回は、その変化を暗示する上演になる予定です。

 

■改訂版上演のご成功をお祈りしております。コメントどうもありがとうございました。

 

※引用はすべて、ライブ「映画としての音楽」初演時のプログラムより

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予告:JSEM主催 電子音楽なう!vol.5

2016/3/18(fri) 19時開演 大阪なんば BEARSにて開催決定!!

出演者等詳細決まり次第随時お知らせいたします。

※jsem会員の皆様には作品募集をMLにてご案内しております。

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