Return to JSEM後援イベント

2018/5/27他 「周辺の音楽」

▇企画名
「周辺の音楽」

▇概要
企画「周辺の音楽」は、毎回一人(一組)の作家に焦点をあて、普段は見えにくい作家独自の視点を掘り下げ紹介していくトークイベントです。2017年11月には第一回となる「周辺の音楽 -作曲家・福島諭の場合 入門編-」が行われ特殊で専門的な話題ながら好評を得ました。
さて、嘗て80年代後期に現代作曲家 柴田南雄が”周辺の音楽”と綴った頃(*1)、そこには日本人の音楽性のルーツを探るために、日本周辺に残る世界の民族音楽を研究し、且つその比較検討から新たな「音楽文化圏」をイメージしていきたいというような力強い態度がありました。ここには少なくとも自国である「日本」と、それに対する「周辺」という関係が伺えます。しかし、それから約30年経った現在、私達はそれほどまでに日本的な音楽特性を強く意識することも無く、またその必要性も感じないままに創作を続けています。大衆からの膨大な支持を受けあらゆるメディアを駆け巡って届けられる音楽の多くは日常の一時を彩ってもくれますが、もはやそれ以上のものではないことが普通になりつつあります。これは現在のメディアの限界なのかもしれないと考える一方で、そもそも今現在、創作行為の力強さや面白さを感じ・信じることのできるものは身の回りに存在するのだろうか、と問うてみたくもなります。しかし幸運なことに、そういった面白さは表立っては見えにくくなりつつありますが、各所に密かに存在しているようにも感じます。主流といわれる中心を失いながらも、しかし創造的な行為自体は全て周辺に、孤独に花開いているのではないかと思われるのです。そのような意味において、本イベントのタイトル「周辺の音楽」は付けられています。
2018年の上半期、約3ヶ月の期間に、福島諭(作曲家)、PAL(DJ/トラックメーカー)、池田泰教(映像作家)の3名を紹介致します。(全5回)

(*1)音楽の領域としてのアジア(「図書」88-5に初出):『声のイメージ』柴田南雄著 岩波書店 p110より

▇日程
2018年
5月27日(日) -作曲家・福島諭の場合 周期作曲編- (出演:福島諭+福島麗秋) 会場01:蔵織

6月30日(土) -PALの場合 即興編1- (出演:Pal+福島諭)会場01:蔵織
7月01日(日) -PALの場合 即興編1- (出演:Pal+福島諭)会場02:Gallery 3+4 Creative

7月28日(土) -映像作家・池田泰教の場合 記録と創造編-(出演:池田泰教+福島諭)会場01:蔵織
7月29日(日) -映像作家・池田泰教の場合 記録と創造編-(出演:池田泰教+福島諭)会場02:Gallery 3+4 Creative

▇料金
各回1,500円

▇時間
各回 17:30 OPEN 18:00 START (予定)

▇会場
会場01:蔵織(〒951-8062 新潟県新潟市中央区西堀前通1-700)
会場02:Gallery 3+4 Creative(〒957-0056 新潟県 新発田市大栄町1丁目6-13)

▇主催・後援・問い合わせ
主催 : Gallery 3+4 Creative
後援 : 日本電子音楽協会, G.F.G.S. Label
問い合わせ:info(at)shimaf.com

▇出演者 profile

□作曲家
福島 諭 / Satoshi Fukushima
1977年6月24日新潟生まれ。作曲家。
新潟大学教育学部特別教科(音楽)教員養成課程卒業。
IAMAS ( 岐阜県立情報科学芸術大学院大学 ) 修了。

2002年よりリアルタイムなコンピューター処理と演奏者との対話的な関係によって成立する作曲作品を発表。
また、即興演奏とコンピューターによる独自のセッションを試みるバンド Mimizのメンバー。
2008年より濱地潤一氏との室内楽シリーズの作曲を積極的に開始する。なかでも交換型共同作曲作品《変容の対象》は2009年元旦より開始され現在も進行中である。《変容の対象》2011年版の他にも、マリンバと室内アンサンブルのための《氷中フロレット》(’12) 、4声の合唱曲《Eupatorium fortunei》(’15)などコンピュータを演奏時に使用しない作品も2012年より発表を行っている。
これまでの作曲作品の中で、いくつかのものは自身によって詳細な作曲方法の解説と共に独自の楽譜に残してきており、時間の中で展開される現象とその記録方法についての考察を続けている。
2016年G.F.G.SレーベルよりCD「福島諭:室内楽2011-2015」をリリース。
また、2017年よりディスプレイ上で表示されるRGBの色情報へ特定の処理と時間軸を与えて光を編み込む試み《twill the light》シリーズの制作と発表も開始した。
日本電子音楽協会理事(2017年度~)。作曲を三輪眞弘氏に師事。

[賞歴]
Mimiz:2006 ARS ELECTRONICA 2006 Digital Music Honorary Mention
福島諭:2006 第一回 AACサウンドパフォーマンス道場 優秀賞
福島諭:2011 第六回 JFC作曲賞 入選
濱地潤一+福島諭:2013 第十七回文化庁メディア芸術祭 アート部門 審査委員会推薦作品 選出
福島諭:2014 第十八回文化庁メディア芸術祭 アート部門 優秀賞
福島諭:2017 「坂本龍一|設置音楽コンテスト」佳作

□尺八奏者
福島麗秋 / Reisyu Fukushima
1948年生まれ。群馬県出身。新潟大学卒業後教員となる。村松流尺八師範、都山流尺八准師範。学校への邦楽出前授業、福祉施設慰問、岩室甚句を中心とした民謡の保存・伝承活動を実施。近年、伝統・混沌と光をテーマに現代音楽とのコラボレーションにも取り組む。

□DJ/トラックメーカー
PAL
DJ/トラックメーカー、廣木勇人のソロ・プロジェクト。ライフワークである山登り、環境音採集、読書、アミニズム、お米作りから着想を得て、つまずくステップや尖端音楽を組み立てる。2016年4月にドラムマシーンのエラーを礼賛した自身初の音楽集『人の砂漠 ~Desert of Human being~』を発表。 2017年盛夏には、シャーマニズム・呪術・少数民族・儀式・野草・フィールドレコーディングをしっとり潜ませたカセットテープ作品『Heimia / Calea』をHeliostructionから発表した。

□映像作家
池田 泰教 / Yasunori Ikeda

1976年 福島生まれ
映像作家
制作集団 BLUE LICHENES 主宰
語りと時間の構造が持つ本質的な面白さに着目し、独自のスコア(記述法)を用いたドキュメンタリー/フィクションを制作。
インタビューを元に震災の前後を描いた『3PORTRAITS and JUNE NIGHT』(2009-2013)、自身の家族を各回の主人公に据えた『BYTシリーズ』(2011-2016)(オムニバス企画BETWEEN YESTERDAY AND TOMORROW 参加作品)など、出演者との協働過程を取り込んだ表現を行う。
近年は現代曲の数値的な構造を元にプログラミング編集を行ったライブ記録制作や時間軸を持った3Dスキャニングシステムの開発など、アーカイブ分野での研究も行なっている。

Permanent link to this article: https://jsem.sakura.ne.jp/jsemwp/?page_id=1787