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第21回日本電子音楽協会定期演奏会「詠像詩」

第21回日本電子音楽協会定期演奏会 「詠像詩」

日時:2018年3月6日(火)19時開演

場所:浦安音楽ホール ハーモニーホール(JR京葉線・武蔵野線 新浦安駅南口から徒歩1分)

出品者:大久保雅基、佐藤亜矢子、土屋雄、仲井朋子、林恭平、渡辺愛

入場料:2,500円

「詠像詩」
今や巷に音楽は溢れかえっています。映像や、詩も同様に人の手によって人のために作られ続けています。ネットワークが求める作品形式のフォーマットにさえ準じていれば、誰でも手軽にそれらを「公開」できるようにもなりました。もはやそれらこそが日常的な意味での「音楽」や「詩」や「映像」を形作ってるかのようでもあります。
しかし、こうした時代にもう一度あらためて音楽、詩、映像の持つ芸術的な特性を見つめ直すことはできないでしょうか。ネットワークや記録メディアを介した情報の伝達の速度は速く、それらは一瞬で私たちを”分かったような感覚”にさせますが、一方でそうしたフォーマットからこぼれ落ちている表現をいっそう見えにくくしているのかもしれません。
音楽とは何でしょうか。詩とは、映像とは何でしょうか。
私たちは日常でそれらに多く触れていますし、朧気にその役割をイメージすることもできます。しかし、それらは既に分かりきったものなのでしょうか。SNSなどのソーシャルメディアの登場で、新たに気づかされた感覚があるとすれば、人にとって「現在」を感じるという行為は極めて重要な要素の1つでありそうだ、ということかもしれません。そして人には、そのための識別感覚はかなり鋭く備わっているのではないか、ということも様々な局面で実感されています。
今回、JSEM定期演奏会で掲げられているテーマは「詠像詩」です。「像(image,statue,figure,portrait…)」と「詩(詩情/poetic)」というキーワードを含んだ造語ですが、「詠(歌う、唱える)」はまさに作品がその場で生成される様を含んでいます。音楽や、映像や、詩が本来我々にとって何ものであるのか。どうあり得る(あり得た)のか。記録メディアのフォーマットを前提とせず、そこからこぼれ落ちるものにも目を向け、舞台上で生成される「現在性」に立ち会うこと。もはやそこに約束された確かな道はないのだとしても、「詠像詩」をテーマに集まった新作達と共に、JSEMはこの難題を見つめ直したいと思います。

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